図書館もバージョンアップを

「これからの図書館像」発表

文部科学省

 文部科学省は、今日の図書館の現状や課題を把握・分析し、生涯学習社会における図書館の在り方について調査・検討すべく、2004年7月に「これからの図書館の在り方検討協力者会議」設置、論議を重ねてきたが、このたび、その結果を「これからの図書館像〜地域を支える情報拠点をめざして」として発表した。

図書館サービスの現状

 公立図書館のあり方については、ここ10年ほど、いくつかの調査研究がなされてきた。2000年12月に発表された「2005年の図書館像〜地域電子図書館の実現に向けて〜」では、近年の急激な社会の情報化と図書館サービスの新たな展開に目を向け、図書館関係者・民間団体等からのヒアリングを行うなどして1999年2月から調査研究を実施。今回の調査は、これを踏まえ、実際に先駆として図書館を改革してきた国内外各地のいくつかの事例を紹介しながら、未来の図書館像に向けた提言をまとめたものである。

 現在、公立図書館数は2,714館。都道府県立の設置率は97.9%だが、町立が45.4%、村立は17.6%に留まり、身近で図書館サービスを受けられない地域は依然として多い。地方自治体の財政難、社会教育への補助金の廃止など厳しい状況の中、職員自体の総数は増加傾向にあるものの、司書などの専門専任職員数は1999年度の7,658人から2002年度には7,528人に減少。図書館資料購入費も削減される傾向にあり、1館あたりの平均資料費は、2001年度から2005年度の5年間に、都道府県立で477万円減、市町村立で205万円の減額。さらに建築後30年以上の図書館が3割を越え、バリアフリー対応の遅れが問題となっている。情報化については、2002年10月現在で、9割以上の図書館でコンピュータを所持してはいるものの、業務等のオンライン化については、都道府県立で76.6%、市町村立で59.1%に留まっている。

役に立つ図書館への新たな視点

 これらを鑑み、当報告では、これからの図書館サービスに求められる視点、役に立つ図書館に変わるために必要とされる機能として、主に「住民の生活・仕事・自治体行政・学校・産業など各分野の課題解決を支援する相談・情報提供の機能の強化」「紙媒体とインターネット等電子媒体の組み合わせによる図書館のハイブリッド化」「学校との連携による青少年の読書活動の推進、行政・各種団体等との連携による相乗効果の発揮」をあげている。

 このうち、住民や行政、団体への支援について具体的には、相談専用の窓口の設置や対応できる職員の配置、相談内容のデータベース化などが上げられている。また、郷土史や地域文化などそれぞれの地域独自の資料を充実させ、さらにはこれを電子化することで、より広範囲な利用者の獲得が可能になるとしている。

 図書館のハイブリッド化では、パソコン導入とネットワークへの接続、商用データベースの活用や他の図書館とも連動した検索システムの整備、図書館独自のウェブサイトの開設やe-ブックの活用を提言。学校や地域社会、行政との連携では、政策立案支援や広報活動などを互いに積極的に展開することでPRに相乗効果をもたらすことや、学校図書館と連携しての資料搬送サービス等を展開することなどを提案している。

 さらに、これらの機能を発揮するために必要な図書館経営の改革として、「図書館の資源の配分の見直し、研修や専門職員採用などによる職員の意識改革・資質・能力の一層の向上、利用者・利用団体への積極的な広報、利用者の視点に沿った弾力的運営・評価など」が求められているとしている。


 現在の多くの図書館の状況は、本やビデオが無料で借りられる所、学生が勉強する所といった旧態依然の認識が強く、事実、図書館の重要性への認識がないことから、人的、予算的規模の縮小に向っている公立図書館が少なくない。

 しかし、翻って今日の社会状況を見るに、財政難、少子高齢化、地方分権や国際化の進展など、様々な課題や変化に直面している。また、制度の変化や技術の急激な革新など時代のスピードが急速に上がり、雇用の制度や形態の変化・多様化によって、社会人の持つ知識や技術が急速に古くなったり、より広い範囲の知識が求められるなど、社会に出ても常に学びなおす必要が出てきている。あるいは規制緩和や不登校等の増加によって、青少年の学びの形態すら多様化の様相を呈し、こうした状況に対応できるような知識や情報が適切に入手できる環境設備が不可欠となっている。しかし現在のところその整備においては、単に個人差だけではなく、大都市圏とそれ以外の地域とでは依然として大きな格差があり、図書館の役割は、これまで以上に重要なものとなってくる。報告書は、本提言により地域住民や行政等が図書館の存在意義を再認識し、改革に役立てばとしている。

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このページは、Study.jp 学びタイムズ < eラーニング Labo >が2006年6月28日 23:05に書いたブログ記事です。

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